黒炭(松・雑木)

  

 木炭は、その消火方法の違いによって黒炭と白炭に分類することができます。黒炭は、炭を焼成後、窯の中で冷却してから取り出す窯内消火法によって製炭されます。白炭と比べると火持ちは短いですが、火付きがよいという特徴があります。  

 

 当会の黒炭は、主にアカマツを原材料とする松炭と、ナラ等の広葉樹を原材料とする雑木炭です。  

 

 松炭は日本刀の鍛錬や、日本刀の原材料となる玉鋼を作成するたたら製鉄に使用されます。アカマツの木の構造的な特徴と、黒炭の火付きが良いという特徴によって高い燃焼性を持っているために、金属鍛錬や製鉄に必要不可欠な燃料として使用されています。 

 

 雑木炭は、松炭とあわせてたたら製鉄に用いられます。たたら製鉄において砂鉄の次に重要な材料といわれるのが木炭です。一回の操業で約10トンの木炭(松炭2トン、雑木炭8トン)が必要であり、昔からたたらのある地では炭焼きが必要不可欠でした。しかし現在では大量の木炭を一ヵ所で用意するのが大変難しくなり、当保存会でも設立当初から、必要な木炭生産の一部を担っています。たたら製鉄で必要な松炭は刀鍛冶が使用するものとほぼ同じですが、雑木炭はたたら製鉄用に、未炭化もありつつ、炭化もしている、という特殊な焼き上がりにすることが求められます。

 

 現在、黒炭の製炭は岡山県久米郡美咲町の山間地にて行っており、材料は岡山県原木を使用しています。規模は黒炭窯が5つ、年間に30tほど(平成30年度)の木炭を生産しています。

 

 

<黒炭製炭の手順> 

 

 はじめに木材を窯に入る大きさに切り(写真左)、窯に詰め焼成していきます(写真右)。窯への点火から炭が完成するまでには、窯の冷却も含めておよそ10〜15日かかります。窯から取り出した後は袋に詰め、各地へ出荷します。

 


 

 

伝統的な松炭焼きの技法の詳細は、以下の動画でご覧いただけます。

真ん中の再生ボタンをクリックすると始まります。右下のボタンをクリックすると全画面表示になります。

 

DVD「松炭焼きの技法」23分

(企画:伝統工芸木炭生産技術保存会 制作:株式会社テレビせとうちクリエイト)

 

 

 

マンガでもご覧いただけます。クリックすると拡大されます。

 (マンガ:作・画かまたきみこ)